おうちでネイチャーノート:室内植物の小さな変化に感謝を見つける
日々の忙しさの中で、心身のリラックスや穏やかな時間を持つことへの関心が高まっています。自然に触れることは、そうした安らぎをもたらす一つの方法として知られていますが、都会に住んでいたり、時間に追われていたりすると、なかなか自然の中へ足を運ぶ機会を持てないことも少なくありません。
そこで注目したいのが、身近な自然に目を向け、そこに感謝の気持ちを見つける「ネイチャーノート感謝帳」の習慣です。特別な場所や時間を必要とせず、日常生活の中で手軽に実践できるこの習慣は、心の状態を整え、日々の満足度を高める助けとなります。
この記事では、特に自宅という最も身近な空間にある自然、すなわち「室内植物」に焦点を当てたネイチャーノートの始め方と、そこから得られる心の変化についてご紹介します。
なぜ室内植物がネイチャーノートに適しているのか
ネイチャーノートは、自然の中での気づきや感謝を記録する習慣です。しかし、毎日のように公園や森に出かけるのは現実的ではない場合が多いでしょう。その点、室内植物は私たちの生活空間に常に存在しています。
室内植物を観察対象とすることの利点はいくつかあります。
- 圧倒的な身近さ: 家の中にあり、いつでもすぐに観察できます。天気や時間に左右されません。
- 継続のしやすさ: 日常の一部であるため、習慣として取り入れやすく、継続のハードルが低いと言えます。
- 観察しやすい変化: 室内環境は比較的安定しているため、植物の成長や変化がより明確に、じっくりと観察できます。
- 手軽な対象: 大きな準備や特別な道具は必要ありません。今ある一鉢からすぐに始められます。
室内植物ネイチャーノートの始め方
室内植物を使ったネイチャーノートを始めるのに、特別な準備は不要です。
- 観察対象を選ぶ: 自宅にある観葉植物や多肉植物、ハーブなど、好きな植物を一つ選んでみてください。最初は一鉢から始めるのがおすすめです。
- 記録するものを用意する: ノートとペン、またはスマートフォンのメモアプリやカメラなど、記録しやすいものを用意します。特別なノートである必要はありません。
- 観察する時間を作る: 毎日数分、あるいは週に一度など、無理のない範囲で観察する時間を決めます。決まった時間でなくても、植物のそばを通るたびに少しだけ立ち止まる、というのでも十分です。
室内植物の観察と感謝を見つけるヒント
観察する際は、五感を意識してみましょう。そして、そこに感謝の視点を加えてみます。
- 見る:
- 新しく出てきた芽や葉の色、形はどうですか? つやつやしていますか?
- 茎やツルはどちらの方向に伸びていますか? 光の方を向いているかもしれません。
- 葉の表面の模様や、虫食いの跡、枯れ始めている葉はありますか?
- 土の表面の乾き具合や、根が鉢底から出てきているかなども観察できます。
- 感謝の視点: 新芽や成長を見つけたら、生命力や成長する力に感謝できます。葉のつやは健康の証かもしれません。枯れ葉を見つけたら、植物が自身を維持しようとしている働きに感謝できます。
- 触れる:
- 葉の表面をそっと触ってみてください。つるつる、ざらざら、柔らかい、硬いなど、様々な感触があります。
- 茎を指でなぞってみます。
- 感謝の視点: それぞれの植物が持つ独特の質感を感じ、その個性や存在に感謝できます。
- 嗅ぐ:
- 土の匂いはどうですか? 湿っているか、乾いているか。
- ハーブなど香りのある植物なら、葉を軽くこすって香りをかいでみましょう。
- 感謝の視点: 土の健全な匂いや、植物が放つ香りは、癒しや心地よさをもたらしてくれます。
- 聞く:
- 水やりをする際に、土が水を吸い込む音に耳を澄ましてみます。
- 葉が風で揺れる音(窓を開けている場合など)。
- 感謝の視点: 微かな自然の音に気づくことで、日常の喧騒から離れ、穏やかな気持ちになれます。
これらの観察を通して、植物の生命力、置かれた環境で懸命に生きる姿、そして私たちに緑や安らぎを提供してくれる存在そのものに感謝の気持ちを見つけることができるでしょう。
記録方法:手軽さを重視して
記録は、観察で気づいたことや感じた感謝の気持ちを書き留める行為です。方法は自由で、続けやすいものを選びましょう。
- 手書きノート: 日付を書き、観察内容、気づき、感謝の言葉を自由に書き留めます。簡単なスケッチや、落ちた葉っぱを貼るのも良いかもしれません。
- スマートフォン:
- 写真: 植物の写真を撮り、日付と簡単なメモを添えて保存します。特に変化があった箇所(新芽、つぼみなど)を記録すると、後で見返した時に成長がよく分かります。
- 音声メモ: 気づいたことや感じたことを声に出して録音します。書くのが億劫な時に便利です。
- メモアプリ: テキストで手軽に記録できます。
- 専用アプリ: 自然観察や植物の育成記録に特化したアプリを利用するのも一つの方法です。
重要なのは、完璧な文章や詳細な記録を目指さないことです。「新芽が出た、嬉しい」「葉っぱの緑がきれいだった、ありがとう」のように、一行や短い言葉、あるいは写真一枚だけでも十分です。手軽に、負担なく続けられる方法を選びましょう。
室内植物ネイチャーノートが心にもたらす効果
このシンプルな習慣は、私たちの心に様々な良い影響をもたらす可能性があります。
- リラックス効果とストレス軽減: 緑の色は心を落ち着かせると言われます。植物をじっと観察する時間は、日々の雑念から離れ、心を穏やかにする助けとなるでしょう。マインドフルネス(今ここに集中すること)の実践にもつながります。
- 感謝の習慣化: 日常の当たり前と思っている存在(植物)に目を向け、感謝を見つけることで、感謝する習慣が育まれます。これは、日々の幸福感や満足度を高めることにつながると言われています。
- 観察力の向上: 小さな変化に気づこうと意識することで、身の回りの他のことにも注意が向くようになり、観察力が養われる可能性があります。
- 自己肯定感: 植物の世話を通して成長を見守ることは、小さな達成感や生き物を慈しむ喜びをもたらし、自己肯定感を高める助けとなることも考えられます。
継続のコツ
- 完璧を目指さない: 毎日記録できなくても、長く続けられなくても大丈夫です。気が向いた時、時間がある時に観察し、記録するだけでも意味があります。
- 短い時間でOK: 立ち止まって数秒見るだけでも、心に留めるだけでも第一歩です。
- 楽しむことを最優先に: 「〜しなければならない」と義務感を持つのではなく、「楽しそうだな」「やってみようかな」という気持ちで始めることが、継続の一番の秘訣です。
まとめ
自宅にある室内植物を通したネイチャーノートは、忙しい毎日の中でも手軽に始められる、心身のリラックスと感謝を育む素晴らしい習慣です。特別なスキルや場所は必要ありません。たった一鉢の植物が、あなたの日常に穏やかな時間と心の豊かさをもたらしてくれるかもしれません。
まずは、あなたのそばにある植物に、少しだけ目を向けることから始めてみませんか。そして、そこで気づいた小さな変化や、植物への感謝の気持ちをそっと心に留めたり、記録してみたりしてください。この小さな一歩が、きっと日々の生活に静かな変化をもたらすことでしょう。